⑨幼馴染
表参道のブランドショップで、
買い物をしている梓。
「ねぇ~、どうしよ~!!
こっちはカワイイし、
こっちも大人のオンナって感じだしい~」
「どっちも似合ってるってば~。
てか、悪いんだけどさ、
私、そろそろお稽古の時間だわ。」
「そうだよ~、買っちゃえ買っちゃえ!!
あ、七海~、
そろそろネイルの予約時間じゃない!?」
「マジ!?ヤバッ!カレとの約束までに、
間に合わないじゃん!!」
長時間の買い物に付き合わされている
西門家次女 西門麗香と、
美作家長女、美作七海と次女葵海(あおい)の双子姉妹。
アメリカから帰国してからできた、
唯一の友達。
英徳幼稚舎からの幼馴染。
「そうだ。パパから聞いたんだけど、
類さん、またお見合い断ったらしいよ~。
梓、知ってた??」
最後まで買い物に付き合うことになった、
葵海が言う。
「っえ!?お見合いっ!?」
「うん。類さんて、パパ達の仲間の中では、
唯一独身じゃん?
うちのパパとか、西門パパとかが、
いろいろ紹介してるらしいんだけど。
なかなか、上手くいかないみたいでさ~」
「へ、へぇ~」
動揺する梓。
フーンという感じで見つめ、
何かを確信したように葵海が続ける
「梓ってさ、昔から類さんのこと
お気に入りだったよね?」
「エッーーーーッ、そ、そ、そんな事ないよぉ~」
顔を真っ赤にし、
バシバシと手を振り回している。
「動揺してるし、わかりやすっ笑」
「ねえ、あの二人には言わないから、
ワタシだけに教えてよ。
類さんのこと、狙ってるんでしょ??
てか、梓、アンタわかりやすいんだもん。
今日選んだ服だって、類さんと会う時のでしょ??
だいぶ背伸びしたラインのもの選んでたし。
でもさ~、類さん、パパ達と同じ
40代なんだよ?わかってる??」
「わかってるもん。。。」
泣きそうな顔をして、梓は小さく呟いた。