③
滋おばさまと会ったのは、何年ぶりだろう。
青山で一緒に買い物を楽しんだ後、
カフェで、
久しぶりの再会に、話が弾んでいた。
「あの、、、おばさま。
今日は、どうしても聞きたいことがあって、お呼びしたんです。。。」
「何かしら??梓ちゃんのお願いなら、なんでも答えるわ。」
昔と変わらないショートヘア、
明るい声で答える滋。
「その、、、パパとルイ君って、
昔、何かあったんですか??」
コーヒーカップを、口まで運んだところで、
滋が止まった。
「、、、、、聞きたいことって、
そのことかしら??」
「はい。おばさまなら、ご存じですよね??」
「、、、、、ごめんなさいね。
そのことなら、私から話せることは何もないわ。」
「どうして、みんな隠すんですか??
私、聞いたんですよ!
パパと、ルイ君が、女の人を取り合ったことがあるって。」
「。。。。。」
「そう、聞いたのね?でも、ごめんなさい。
私の判断で、簡単に話せることじゃないのよ。。。
色んな人の想いがあるの。、、、許してね。」
「少しいいかしら??
あなたは早くに、お母様を亡くされているから
わかっているかもしれないけど。。。
人生って、得るものもあるし、失うものもあるの。
出会いもあるし、別れもあるわ。
私達のように、組織のリーダーになる人間は、
他の人達よりも、より多くの選択を迫られるものなの。」
「自分の気持ちだけでは、どうにもならない事って世の中にはあるって、知っておいてちょうだいね。」
「、、、はい。」
「あの、、、おばさまは、その女性(かた)の事、ご存じだったんですか?」
「、、、えぇ。今も、昔も親友だと思っているわ。」
「みんな、彼女に救われたのよ。。
そうね、女神(ヴィーナス)ってとこかしら??笑」
何かを思い出し、フフッと滋が笑った。
女神??
そんなに、美しい女性(ひと)?
皆を救う女神(ヴィーナス)??