⑨
「コンコンッ」
「どうぞ。」
類が、返事をした。
社長室のドアが開き
「よお、類!」
と、片手を上げて司が入ってきた。
「司!どうした?」
「近くで会議があってな、寄ってみた。」
「久しぶりだね。」
「あぁ、お互い忙しくしてるからな。」
あ〜疲れた、とつぶやき、社長室のソファに腰掛けた。
秘書が離席し、2人きりになった。
「あのさ、言いにくい事言っていい?」
類が口を開く。
「なんだそれ?笑」
「言っても、殴らないでよ?」
「は?何だよ一体。」
「あのさ、梓ちゃんの事なんだけど。。
あの子に勘違いさせちゃってた、っていうか、
オレの事、そーいう目で見てたみたいで。。。」
「。。。。」
「だけど、オレは、ずっと自分の娘みたいに
思ってたし、大切な親友の娘としか見てない、って言った。」
「。。。そうか。類、なんか悪かったな。
父親のオレが、してやれない事ばかりで、
昔の事もあったし、オマエの事を、特別に慕ってたのは、うすうす気付いてたんだよ。。。」
「。。うん」
「ありがとな。オレにも梓にも、正直に伝えてくれて。」
「大事にしてあげなよ。」
「、、、あぁ」
何かを考えながら、司は小さく答えた。