⑦
国立K大前で、制服姿の梓が立っていた。
似つかわしくない雰囲気に、学生の誰もが振り返る。
「ねえ、あなた、こんなところで何してるの?」
近くで見ていた、女子学生が話かけてきた。
「あっあの。私、人を探しているんです。ここの大学1年生で、名前しかわからないんですけど、、、。
佐伯稜って人、知りませんか??」
梓が真剣な眼差しで聞いた。
「佐伯稜?稜の知り合い??」
「!!
ご存じなんですか??」
「うん、同じゼミなの。あなたは??」
「あっ、私は、ちょっとした知り合いなんですが。。。」
「ふ~ん、そう?」
不思議そうに、ジロジロと梓を見た。
「彼は、今日学校に来てますか?」
「、、、えっと、稜は、今日は授業がないから来てないのよ。」
「そうですか、、、。」
「じゃあ、私も授業があるから行くわね。」
そう言って、梓から去って行った。
近くで彼女を待っていた友達が、不思議そうに言う。
「ねえ、稜クンって今日いたよね!?」
「そうだった??」
「えっ!?だって、芙夏(ふうか)さっき話してたじゃん。」
「あの制服、英徳学園じゃない??
超お嬢じゃん。しかも、モデル並みにカワイイし。」
「稑クンの知り合い??」
「さぁ、知らなーい。」
と、意地悪そうに芙夏が言った。
「何それ!?コワー笑」
彼女達は、笑いながら学内に戻って行った。