④
陸の部署に、玲人がやってきた。
「神崎さん??どうしたんですか?
次回のミーティングは、来週でしたよね??」
「ああ。君か。ちょっと、確認したいことがあったんだ、直接聞きたいと思ってね。」
「そうでしたか。僕でよろしければ、お答えしますよ。」
そう言って、2人はミーティングルームに入っていった。
「神崎さん、もしまた何かあればメールでもお答えします。」
「いや、親父から引き継いだ最初の仕事だし、
周りにナメられたくないからね笑
、、、今は、仕事に打ち込みたいんだよ。」
意味深な言葉に、稜は不思議に思った。
「そういえば、ご婚約されてるんでしたよね。
ご結婚もそろそろですか?」
「、、、、」
「あっ、イヤっ、すみません。調子に乗って余計な事を聞いてしまいました。」
「いや、いいんだ。。。先日、婚約者から
結婚の話を保留にしたいと言われたんだ。」
「あ、、、はぁ。そうだったんですか、、、」
「ようやく彼女も心を開いてくれてきたと思ってたんだけどね。。。やっぱり、政略結婚なんて、今時ないよね。」
玲人は、悲しそうな顔をして笑った。
「正直、僕のような立場の人間には、家のためにとか、、、そういうのってわからないです。」
「羨ましいよ、君たちが。
オレは、自分が神崎の家に生まれてきた事を、恨んだこともあるんだよ。。
昔、好きな女を、幸せにする事が出来なかったんだ。。。
その時は、家という大きな存在に、人生を乗っ取られてるみたいに感じてた。。。
でも、やっぱり生まれ育った環境を、変えることは難しかったんだよ。。。」
「、、、僕には、その気持ちがわからないですけど。。。
本当に好きな人のためなら、何もかも投げ捨てるかもしれないです。」
「。。。若いね笑」
「感情だけで、生きていけたらどんだけいいか。でもさ、大人になるって、周りの事、自分以外の事を優先しなきゃいけない事もあるんだよ。」
玲人は、稜に、余計な話をして悪かったね、と
部屋から出ていった。
稜は、寂しそうな玲人の顔が忘れず、後ろ姿ずっとを見つめていた。