⑤
梓は、稜の事を思い出していた。
好きかどうかはわからないけど、
運命的なものを感じていた。
そして、久しぶりに連絡をしてみた。
《こんにちは、梓です。覚えてますか??
あの、もしよければ、久しぶりにお茶でもしませんか?》
しばらくして、稜から返事がきた。
《こんにちは。元気ですか?オレは、仕事の帰りでよければ》
2人は、稜の仕事帰りに会う約束をした。
待ち合わせ場所で、梓はひときわ目立っていた。
「あっ、おっお待たせ。ゴメンっ、待った??」
駆けつけた稜は、少し緊張していた。
「ううん。久しぶり。」
梓は、笑顔で微笑んだ。
2人は、近くのカフェに入った。
「あの、そのっ、元気だった?」
梓は、話出した。
「ああ、うん。今さ、花沢物産で働いてるんだ。」
「そうだったんだ!知らなかった。」
「うん、、、君は??」
「私?高2になった。」
「て、ゆうかさ、何でタメ口?オレ、年上なんだけど笑」
「え〜、いいじゃん笑」
「ま、いいけど笑」
お互いの緊張がほぐれ、笑い合っていた。
「私ね、家の人から婚約しろって言われたの。」
「えっ!?だって、まだ高2なんじゃないの??」
「うん、でも、こういう事って、年齢は関係なく進められるの。」
「へぇ〜、大変だな。君んちって、会社やってるんだよね。」
「うん。道明寺グループって言えばわかるかな?」
「えっ!?あ、そうか、確か前に聞いた覚えあったわ、スゴイね。花沢グループもスゴイけど、さらに上をいく財閥だもんな。」
「私の父も、政略結婚で会社を大きくしたみたいなの。」
「そういうもんなんだな、、、オレ達庶民にはわかんないな。」
「そういや、この間も、取引先の御曹司が、同じような事言ってたっけ。君たち世界って、どこも大変なんだね。」
「うん、、、でもね、私は、私らしく生きたいなって思ったの。つい最近、父にも、私はそうあるべきだ、って教えられたの。」
「君のお父さんは、政略結婚には反対なんだ?」
「うん、、詳しいことは知らないんだけど、
昔、色々あったみたいで。。。
私には、家とか考えなくていいって。」
「いいお父さんだね。」
「うん、、、あんまり父との思い出はないけど。。」
「でもさ、何でまた急に連絡くれたの?」
不意打ちの質問に戸惑う梓。
「あ、うん。何かね、その。。。。」
「その、何??」
「うん。。。えっと、言いづらいんだけど、
私、あなたの事をもっと知りたいなって思って。。。何かね、こういう事言うと、変に思われちゃうかもしれないんだけど、、、あなたとは何処かで会ってた、生まれる前から知ってるような感覚になるの。。。」
「えっ!?何それ笑どーゆうこと??」
「上手く言えないんだけど、懐かしい感覚になるっていうか。。。とにかく、あなたの事をもっと知りたいの。そして、何でこんな感覚になるのかを、確かめたいの!」
「それって、、、オレと付き合いたいって事??」
「えっ、つ、付き合う、、、??」
「そうことなんじゃないの??」
「そ、そうか。うん、付き合ってください!」
「笑。え?ちょっと待って、好きとか??」
「うーんと、正直、まだそういう気持ちはわからない、でも、付き合ってみて、そういうことも確かめたいの。」
「なんだよ笑 変なの。」
「だ、ダメ??」
「ダメじゃないけど、わかんないな。
中途半端な気持ちじゃ付き合えないし。
、、、でも、確かに君が言ってたけど、オレも君と会うと何か不思議な感覚になるんだよね。。。どうしてなんだろ??」
「じゃあ、2人で確かめていきましょうよ!」
勢いのよい梓に、少し圧倒されながらも、稜は梓との交際を承諾した。