⑧
梓と稜は、水族館に来ていた。
「水族館なんて、久しぶりだな〜。梓は??」
突然、呼び捨てにされて戸惑う梓。
「え?梓は??水族館、結構来てた??」
「あっ、あの。。。名前、、、」
「名前?えっ?あ、そうか。ゴメン。ちゃん付けした方が良かった??」
「ううん、、、でも、家族以外の男の人に呼び捨てにされたことないから、びっくりしちゃって。。。」
「アハハハ。案外、ウブなんだね笑」
顔を真っ赤にしたままの梓に、稜が優しく声をかけた。
「じゃあさ、オレのことも、稜って呼び捨てに呼んでいいから。」
「、、、うん、わかった。」
2人は、水族館の奥に向かって歩き始めた。
イルカショーを観ていた時だった。
バシャッーーー !!!
勢いよく飛沫が、2人にかかって来た。
「あぁーー、ヤラレた!」
頭からずぶ濡れで、笑い合う2人。
気付くと、水に濡れて梓のワンピースの中が透けてしまっていた。
とっさに、稜は、自分が来ていたジャケットを彼女に羽織らせた。
「あっ、大丈夫ですよ。すぐ乾くと思いますし。」
事情がわかってない梓は、ジャケットを脱ごうとした。
「だっダメ!!風邪引かせたら大変だから、着たままでいて!!」
それを必死に止める稜。
トイレに立った梓は、鏡を見て、自分のワンピースが濡れて、下着が透けてしまっていたのに気付いた。
ジャケットを着てなければ、丸見えだった。
稜のちょっとした気遣いに、心が惹かれた梓だった。