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司は、黙って玲人の話を聞いていた。
「それで?彼女とは?」
「それっきり、、、音信不通です。」
「それでいいの?」
「、、、、」
「彼女の事、本当に愛してたのか??
このまま、中途半端に気持ちを引きずったまま、先になんて進めないんだぞ。
君も、彼女も。。。
ちゃんと自分の気持ちにケジメをつけるべきだ、、、。
オレが言えた立場じゃないが。。。」
「あの、、、道明寺さん、
やっぱり梓さんとの結婚は、僕から破棄させて頂けませんか?勝手なお願いだとは、承知の上ですが。。。」
玲人は、頭を下げた。
司は、無言で頷いた。
「で、どうするつもり??」
「はい、とにかくフランスに行って、彼女を探して、何もかも謝ってきます。許されるとは、思ってませんが、、、。」
「、、、後悔するなよ。
あとの事は、こっちに任せればいいから。」
「はい。。。あの、話聞いて頂いてありがとうございました。」
最後に一礼すると、玲人は店から出て行った。
「司です。神崎玲人と、梓との結婚の話ですが、双方が、破棄したいとの事で一致しました。そういう事なので、この件は、ここまでにして下さい。」
司は、用件をだけ伝えると、あっさりと電話をきった。