②
梓の誕生日パーティ当日。
場違いな雰囲気に、稜は戸惑っていた。
「こっち、こっち!」
梓が、遠くから手を振る。
梓の周りには、西門麗香、美作姉妹も揃っていた。
ドレスアップしている姿に、稜は少し怖気づいていた。
「今日は、招待してくれてありがとう。
あの、、、今日は、いつもと感じが違うっていうか。。。ドレス素敵だね。」
照れながら、褒める稜。
それを、横で見ていた麗香達が近づいてきた。
「梓の付き合ってる人って、あなたの事ですか??」
「えっ〜、ちょっと今までとだいぶタイプが違くない??」
「意外なんだけど〜」
勝手に話始める3人に、今、紹介するから黙って、と、なだめる梓。
「こちらは、佐伯稜さん。」
よろしく、と3人に頭を下げる稜。
その時、後ろの方がザワつき始めた。
そしてF4が、パーティーに現れた。
「ねぇ、F4よっ!!まさか、こんなところでお目にかかれるなんてっ!」
「大人になっても、やっぱり素敵だわぁ」
パーティーに出席していた女性達が、騒ぎ始めた。
「F4って??何?」
「F4っていうのは、梓の父親の、道明寺司と、私の父の西門総二郎、こちらの美作姉妹の父親の、美作あきら、そして花沢物産社長の花沢類、この4人の学生時代の呼び名なの。」
麗香が、稜に教えた。
「へぇ〜。何か、やっぱり君達って凄いんだね、、、。」
想像以上の世界に、驚きが止まらない稜。
「あれ?佐伯君??」
花沢類が、稜に気付いた。
「あっ、花沢社長。」
類に気付き、軽く会釈をした。
「何?彼、類の知り合い??」
あきらが類に尋ねた。
「うん。うちの社員で、佐伯稜君。」
「へぇ。で、何で君がここにいるの??」
あきらが突っ込んだ。
「あ。あの、梓さんに招待されまして。。。」
「へぇ、じゃあ梓の彼氏ってこと??」
「あきら、まぁ、そのへんにしとけよ。
ビビってるだろ?」
総二郎が悪いね、と間に入り、あきらを連れ出した。
「佐伯君、梓ちゃんと付き合ってるんだって?」
「しゃ社長、なんでそれを??」
「あぁ。さっき、あきらんちの双子達が噂してたからさ。君のこと。」
「は、はぁ。そうでしたか。。。」
「オレは、応援してるからさ。」
そう言って、類は稜の肩をポンと叩き、その場から離れて言った。
「おい、総二郎。梓のやつ、付き合ってるヤツがいるってホントか??」
「らしいな。今日、来るみたいだぜ。」
「どんなヤツだった??」
「おまえ、父親だろ?自分で確かめろよ。」
総二郎に、背中を押されたその時、前を通りすぎそうとした人物にぶつかった。
「あっ、すみません。」
「いってぇな〜、総二郎押すなよ。
あぁ、君。悪かったな。」
「いえ。」
司は、ぶつかった相手の顔をじっーと見て、立ち止まっていた。
「あ、あの?ホントすみませんでした。」
「ああ。いや、いいんだ。オレが悪かった、、、。そんな事より、君とどこかで会ったことあったかな??」
「えっ?えーと、どこかでお会いしたような気もしますが、、、すみません、覚えてないです。」
司は、どこかで会った、というよりも、過去の記憶が呼び戻されるような気がしていた。
「君、名前は?」
「はい、佐伯稜です。」
「佐伯?」
聞いたことがない名前だった。
でも、目元や、顔の雰囲気は、どことなく見覚えがあった。