L'homme du destin 〜運命の人〜 花より男子二次小説

花より男子二次小説。漫画の展開からのタラレバ話を世代を超えてつくってみました。自己満足レベルなので、あしからず。

梓と稜は、水族館に来ていた。

 

 

 

「水族館なんて、久しぶりだな〜。梓は??」

 

 

突然、呼び捨てにされて戸惑う梓。

 

 

 

 

「え?梓は??水族館、結構来てた??」

 

 

 

 

「あっ、あの。。。名前、、、」

 

 

 

 

「名前?えっ?あ、そうか。ゴメン。ちゃん付けした方が良かった??」

 

 

 

 

「ううん、、、でも、家族以外の男の人に呼び捨てにされたことないから、びっくりしちゃって。。。」

 

 

 

 

「アハハハ。案外、ウブなんだね笑」

 

 

顔を真っ赤にしたままの梓に、稜が優しく声をかけた。

 

 

 

「じゃあさ、オレのことも、稜って呼び捨てに呼んでいいから。」

 

 

 

 

「、、、うん、わかった。」

 

 

2人は、水族館の奥に向かって歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

イルカショーを観ていた時だった。

 

 

 

バシャッーーー !!!

 

 

 

勢いよく飛沫が、2人にかかって来た。

 

 

 

 

「あぁーー、ヤラレた!」

 

 

 

頭からずぶ濡れで、笑い合う2人。

 

 

 

気付くと、水に濡れて梓のワンピースの中が透けてしまっていた。

 

 

 

とっさに、稜は、自分が来ていたジャケットを彼女に羽織らせた。

 

 

 

「あっ、大丈夫ですよ。すぐ乾くと思いますし。」

 

 

 

事情がわかってない梓は、ジャケットを脱ごうとした。

 

 

 

 

「だっダメ!!風邪引かせたら大変だから、着たままでいて!!」

 

 

 

それを必死に止める稜。

 

 

 

 

 

トイレに立った梓は、鏡を見て、自分のワンピースが濡れて、下着が透けてしまっていたのに気付いた。

 

ジャケットを着てなければ、丸見えだった。

 

 

稜のちょっとした気遣いに、心が惹かれた梓だった。

 

 

 

 

「母さん、母さんが父さんとデートした場所って、どんなとこだった?」

 

唐突な質問に驚くつくし。

 

 

「なっ、何?急に。」

 

 

 

「いやさ、母さんと父さん達って、昔どんなとこでデートしたのかなって思っただけ。」

 

 

 

 

「何よ、急にそんな事聞いてくるかと思ったら。えっ?まさか、とうとう彼女出来たのっ??」

 

 

 

 

「彼女かどうかは、わかんないけど、付き合ってる子はいるよ。」

 

 

 

 

「何よ〜、アンタは。もう、付き合ってるなら、彼女じゃないのよ。」

 

 

 

 

「う〜ん、付き合ってるけど、まだ気持ちは分かんないんだよね。」

 

 

 

 

「中途半端な気持ちで、お付き合いして相手の事、傷付けちゃダメよ。」

 

 

 

 

 

「なんかさ、好きかどうかわかんないのに、付き合う、って感覚、母さんわかる??」

 

 

 

 

昔、期間限定で司と付き合っていたことがあったっけ。

あの頃は、まだ自分の気持ちがハッキリわからなくて。。。

 

 

 

 

 

 

「母さん???」

 

 

 

 

 

「あっ、ゴメン。ぼっーとしてた。

とにかく、相手の気持ちも大切だけど、その気持ちに、自分が正直な答えを出すことが、相手にとっても誠実なんだからね。」

 

 

 

 

「わかってるよ。」

 

 

「キチンとお付き合いすることになったら、うちにも連れて来なさいね。」

 

 

 

 

「わかったよ〜」

 

 

 

 

なんだよ、結局母さん達の話聞けなかったじゃんか、とブツブツ言いながら、稜は自分の部屋に戻っていった。

 

 

「梓、あんた、結婚の話断ったってホント??」

 

 

 

久しぶりに、西門麗香と美作七海&葵海と集まっていた。

 

 

 

「えっー!?だって、相手って神崎HDの神崎玲人だったでしょー!!」

 

 

「ちょっと、神崎玲人っていったら、イケメンじゃないっ!?勿体なーい!!」

 

 

 

美作姉妹が、騒ぎ始めた。

 

 

 

 

「確か、お祖母様が話進めてたって聞いたけど?何か、気に入らなかったとか??」

 

 

 

冷静な態度で、梓に麗香が問いただした。

 

 

 

 

「うん、、、気に入らないっていうか、そういうのじゃなくって。。凄く優しそうな人なんだけど、やっぱり、その、、、結婚するっていうよりも、恋愛がしたいんだよね。。。」

 

 

 

「何それっ〜。だったら、神崎玲人と恋愛すればいいんじゃん!」

 

 

 

「神崎玲人だと、恋愛できないってこと??」

 

 

 

 

「う〜ん、何かね、詳しくは知らないんだけどあの人も過去に何かあったみたいで、恋愛とか信じてないみたい。。

とりあえず、自分が夢中になれる人、そういう恋愛をしてみたいの。」

 

 

 

「司パパは?何か言ってた?」

 

 

 

 

「うん、、お前の人生だから、お前が選べって。」

 

 

 

「、、、そう。」

 

 

麗香は、言葉少なげに答えた。

 

 

 

 

「で?誰かいるの??」

 

 

美作妹が、鋭くつっこんだ。

 

「えっ??」

 

 

 

「えっ、じゃないわよ。

誰かそういう人がいないと、啖呵きって結婚話なんて断れないでしょ??

誰か、そういうふうな人がいるんでしょ??」

 

 

 

経験豊富な美作姉が、続けた。

 

 

 

「うん、まあ。。。この間から、付き合ってる人はいるかな??」

 

 

 

 

「ちょっとー!!!それを早く言いなさいよー!

誰?誰なの??私達の知ってる人??

今日は、たっぷり聞かせて貰うわよ。」

 

 

興奮気味の3人に、囲まれる梓だった。

梓は、稜の事を思い出していた。

 

好きかどうかはわからないけど、

運命的なものを感じていた。

 

そして、久しぶりに連絡をしてみた。

 

 

《こんにちは、梓です。覚えてますか??

あの、もしよければ、久しぶりにお茶でもしませんか?》

 

 

しばらくして、稜から返事がきた。

 

 

《こんにちは。元気ですか?オレは、仕事の帰りでよければ》

 

 

2人は、稜の仕事帰りに会う約束をした。

 

 

 

 

 

 

 

待ち合わせ場所で、梓はひときわ目立っていた。

 

 

 

「あっ、おっお待たせ。ゴメンっ、待った??」

 

駆けつけた稜は、少し緊張していた。

 

 

 

 

「ううん。久しぶり。」

 

 

梓は、笑顔で微笑んだ。

 

 

 

 

 

2人は、近くのカフェに入った。

 

 

 

 

 

 

「あの、そのっ、元気だった?」

 

 

 

梓は、話出した。

 

 

 

 

「ああ、うん。今さ、花沢物産で働いてるんだ。」

 

 

 

 

「そうだったんだ!知らなかった。」

 

 

 

 

「うん、、、君は??」

 

 

 

 

「私?高2になった。」

 

 

 

 

 

「て、ゆうかさ、何でタメ口?オレ、年上なんだけど笑」

 

 

 

 

「え〜、いいじゃん笑」

 

 

 

 

「ま、いいけど笑」

 

 

お互いの緊張がほぐれ、笑い合っていた。

 

 

 

 

 

 

「私ね、家の人から婚約しろって言われたの。」

 

 

 

「えっ!?だって、まだ高2なんじゃないの??」

 

 

 

「うん、でも、こういう事って、年齢は関係なく進められるの。」

 

 

 

「へぇ〜、大変だな。君んちって、会社やってるんだよね。」

 

 

「うん。道明寺グループって言えばわかるかな?」

 

 

 

 

「えっ!?あ、そうか、確か前に聞いた覚えあったわ、スゴイね。花沢グループもスゴイけど、さらに上をいく財閥だもんな。」

 

 

 

「私の父も、政略結婚で会社を大きくしたみたいなの。」

 

 

 

 

「そういうもんなんだな、、、オレ達庶民にはわかんないな。」

 

 

「そういや、この間も、取引先の御曹司が、同じような事言ってたっけ。君たち世界って、どこも大変なんだね。」 

 

 

 

 

「うん、、、でもね、私は、私らしく生きたいなって思ったの。つい最近、父にも、私はそうあるべきだ、って教えられたの。」

 

 

 

 

「君のお父さんは、政略結婚には反対なんだ?」

 

 

 

 

「うん、、詳しいことは知らないんだけど、

昔、色々あったみたいで。。。

私には、家とか考えなくていいって。」

 

 

 

 

「いいお父さんだね。」

 

 

 

 

「うん、、、あんまり父との思い出はないけど。。」

 

 

「でもさ、何でまた急に連絡くれたの?」

 

不意打ちの質問に戸惑う梓。

 

 

「あ、うん。何かね、その。。。。」   

 

 

「その、何??」

 

 

「うん。。。えっと、言いづらいんだけど、

私、あなたの事をもっと知りたいなって思って。。。何かね、こういう事言うと、変に思われちゃうかもしれないんだけど、、、あなたとは何処かで会ってた、生まれる前から知ってるような感覚になるの。。。」

 

 

「えっ!?何それ笑どーゆうこと??」

 

 

「上手く言えないんだけど、懐かしい感覚になるっていうか。。。とにかく、あなたの事をもっと知りたいの。そして、何でこんな感覚になるのかを、確かめたいの!」

 

 

「それって、、、オレと付き合いたいって事??」

 

 

「えっ、つ、付き合う、、、??」

 

 

「そうことなんじゃないの??」

 

 

「そ、そうか。うん、付き合ってください!」

 

 

「笑。え?ちょっと待って、好きとか??」

 

 

「うーんと、正直、まだそういう気持ちはわからない、でも、付き合ってみて、そういうことも確かめたいの。」

 

 

「なんだよ笑 変なの。」

 

 

「だ、ダメ??」

 

「ダメじゃないけど、わかんないな。

中途半端な気持ちじゃ付き合えないし。

、、、でも、確かに君が言ってたけど、オレも君と会うと何か不思議な感覚になるんだよね。。。どうしてなんだろ??」

 

 

「じゃあ、2人で確かめていきましょうよ!」

 

 

勢いのよい梓に、少し圧倒されながらも、稜は梓との交際を承諾した。

 

 

陸の部署に、玲人がやってきた。

 

「神崎さん??どうしたんですか?

次回のミーティングは、来週でしたよね??」

 

「ああ。君か。ちょっと、確認したいことがあったんだ、直接聞きたいと思ってね。」

 

 

「そうでしたか。僕でよろしければ、お答えしますよ。」

 

そう言って、2人はミーティングルームに入っていった。

 

 

 

 

 

「神崎さん、もしまた何かあればメールでもお答えします。」

 

 

 

 

「いや、親父から引き継いだ最初の仕事だし、

周りにナメられたくないからね笑

、、、今は、仕事に打ち込みたいんだよ。」

 

 

意味深な言葉に、稜は不思議に思った。

 

 

 

「そういえば、ご婚約されてるんでしたよね。

ご結婚もそろそろですか?」

 

 

 

 

「、、、、」

 

 

 

 

「あっ、イヤっ、すみません。調子に乗って余計な事を聞いてしまいました。」

 

 

「いや、いいんだ。。。先日、婚約者から

結婚の話を保留にしたいと言われたんだ。」

 

 

 

 

「あ、、、はぁ。そうだったんですか、、、」

 

 

 

 

「ようやく彼女も心を開いてくれてきたと思ってたんだけどね。。。やっぱり、政略結婚なんて、今時ないよね。」

 

 

 

玲人は、悲しそうな顔をして笑った。

 

 

 

 

 

「正直、僕のような立場の人間には、家のためにとか、、、そういうのってわからないです。」

 

 

 

 

 

「羨ましいよ、君たちが。

オレは、自分が神崎の家に生まれてきた事を、恨んだこともあるんだよ。。

昔、好きな女を、幸せにする事が出来なかったんだ。。。 

その時は、家という大きな存在に、人生を乗っ取られてるみたいに感じてた。。。

でも、やっぱり生まれ育った環境を、変えることは難しかったんだよ。。。」

 

 

「、、、僕には、その気持ちがわからないですけど。。。

本当に好きな人のためなら、何もかも投げ捨てるかもしれないです。」

 

 

 

 

「。。。若いね笑」

 

「感情だけで、生きていけたらどんだけいいか。でもさ、大人になるって、周りの事、自分以外の事を優先しなきゃいけない事もあるんだよ。」

 

 

 

玲人は、稜に、余計な話をして悪かったね、と

部屋から出ていった。

 

 

 

稜は、寂しそうな玲人の顔が忘れず、後ろ姿ずっとを見つめていた。

 

「司っ!あなたは、一体何を考えているのっ!!」

 

楓が、物凄い剣幕で社長室に入ってきた。

 

 

「何がですか?」

 

冷たい表情で、楓を無視した。

 

 

「梓が、一旦結婚の話を保留にしたいと言い出したわっ!!何か余計な事を吹き込んで、惑わせたんでしょう!!

あなたは、梓の父親なのよ?

何故、あの子の幸せを考えてあげないのよ。」

 

 

「お母さん、オレは、梓を、昔のオレのようにさせたくないんだよっ!!

自分で、選んだ道かもしれない。。。

でも、あの時、自分の気持ちに正直にいれたら、、って、今でも何度も夢に見るんだよ!

いつまでも、過去に取り憑かれてるようで、苦しいんだよ!!

こんな気持ちを、梓にもさせてたまるかよっ!!」

 

 

「司、あなたの言いたいことはわかります。

でも、あなたもこれまで生きてきた生活を変える事は、きっと出来なかったはず。

梓も同じなんです。

特別な環境で育ってしまった以上、知らない世界で生きていくというのは、とても辛いことだわ。」

 

 

「オレの気持ちなんて、いつでもお構いなしだったもんな。。。

オレ達は、あんたらの駒じゃないんだ! 

 

ただ、アイツとの、唯一愛したやつと、

未来を見たかったんだよ。 

それだけだったんだよ。。

 

わかってくれよ。。。」

 

司は、涙をこぼしながら楓に訴えていた。

梓は、久しぶりに司と食事をしていた。

 

「梓、おまえ、本当にいいんだな?」

 

梓は、しばらく黙って答えた。

 

「はい。玲人さんは、優しいですし、

何度か会ううちに打ち解けてきました。」

 

 

 

「、、、そうか。お前が納得してるんだったら、オレは何も言わない。」

 

 

「お父様も、お母様とお見合いだったんでしょ?」

 

「梓、オレは道明寺の跡継ぎとして、結婚したんだ、、、1人の男としてではなく、道明寺の人間としてだ。」

 

「もちろん、お前の母親の事は嫌いではなかった、、、、

オマエは、家のことを考えずに、1人の人間として、自分の生きたい道を行ってもいいんだぞ。自分で、選べるんだ。」

 

 

「どうして、そんな事言うの??」 

 

 

「後悔して欲しくないからだ。自分の人生だ。

誰のものでもない、誰かに指図されて決めるものじゃない。」

 

 

梓に、ある気持ちがフッと蘇った。

 

しばらく忘れていた気持ちだった。