⑩
「ねぇ、どこまで行くの??」
少し不安そうに、梓が答えた。
「着いたよ、この上。」
稑は、ビルの目の前で立ち止まり、
上の方を指さす。
「ここ。
オレがバイトでお世話になってる会社なんだ。
こっそり入れる場所だから。」
「、、、」
「??
心配しなくても、大丈夫だよ。
入ったのバレても、オレ、ここの会社の人にチョット顔がきくからさ。」
私も、顔がきくんだけどな、、、。汗
と思いながら、だまってついて行く。
エレベーターが来るのを待つ2人。
上階から降りてきた、エレベーターの扉が開いた。
「アレッ?梓ちゃん」
「梓?ここで、何してるんだ?」
類と司が、目の前から降りてきた。
「えっ!?花沢社長と知り合いなの!?」
「、、、、」
「梓ちゃん、何か用事だった??」
「あ、、いや、、、」
チラっと稑の方を見つつ、言葉につまる梓。
その様子を見ていた司。
「梓。用事がないから、帰るぞ。」
司が、梓の腕を掴み連れて行こうとする。
「チョット!、、イヤっ!待ってよ!!」
勢いよく、腕を振り払うとする。
「あのっ!彼女嫌がってるみたいなんで、やめてあげてくださいっ!!」
稑が、司の腕を掴んだ。
「、、、オマエ誰だ?関係ないやつは、どいてろ。」
「あの、あなたこそ、何なんですか??」
「は?オレか??オレはな、こいつの父親で道明寺司だよ!文句あるのか!?」
道明寺司?って、道明寺グループの社長か??
今、コイツ梓って呼ばれてたな、、、
道明寺梓???
どこかで聞き覚えのある名前だった。