④
数日後、梓は、楓からの食事の誘いを受け、
ホテルにいた。
「お祖母様、ごきげんよう。」
「梓、よく来たわね。」
相変わらずの存在感で、孫の梓さえも圧倒する。
「お祖母様と、お食事なんて、久しぶりなので、楽しみです。」
「そうね。」
梓が笑顔で笑いかけたのに対し、素っ気ない雰囲気の楓。
席に通されると、すでに先客が待っていた。
「あら、まぁ、お待たせしてしまって、すみません。神崎さん。」
「いえいえ、こちらこそ。急な事で、無理を言って申し訳ない。」
その様子を見ていた梓は、訳がわからない。
「あぁ、そちらが、梓さんだね。」
「梓、こちらにいらっしゃい。」
楓の秘書に促され、楓の横に並ぶ。
「梓。こちらは、神崎HDの会長と、そのご子息の神崎玲人さん。神崎さん、この子が、孫の道明寺梓ですのよ。」
何がなんだかわからない梓は、ボー然としていた。
「梓!まぁ、失礼しました。まだ、子供なもので。さぁ、玲人さんも、お掛けになって。」
未だ状況がわからない梓をよそに、お見合いは進められて言った。