第5章①
1年後。
稑は、バイト時代の縁もあり、花沢物産に就職していた。
梓とは、あの後、連絡が取れなくなり、疎遠になっていた。
彼女の事情もあるのだろうと、稑は気にしないようにしていた。
梓の事もあったが、
実は、就職にするにあたり、母から初めて反対されていた。
普通に考えれば、倍率も高い商社に、半ばコネ入社で入れたのだ。
普通の親だったら、喜ぶはずなのに、、、。
なぜダメなのか?反対なのか?の理由は、ハッキリ答えず、ただ、商社なんて、あなたに向いてない。の一点張りだった。
安定した職について、今まで苦労してきた母親を楽にさせてあげようと思っていたのに、、、
就職が決まった時も、1番に喜んでくれるはずなのに、
「そう、、、よかったわね。」
と心無く、答えただけだった。