②
その頃、梓は、神崎と婚約していた。
まだ、高校生の梓だったが、
祖母の楓から、条件を出され、仕方なく応じていた。
楓は、梓の、交遊関係を調べ上げ、類との事、稑の事も把握済みだった。
梓には、
「婚約に応じれば、この先、これ以上束縛をしない事。
もし、応じなければ、類との事を司に話すと言う事と、(すでに、司には類から話した事を知らない)
稑の母親の会社に、道明寺グループ関連の仕事を一切まわさない。」
というものだった。
この話は、楓と梓だけで、司は一切把握していなかった。
最初は、抵抗していた梓だったが、
以前、滋に言われた言葉を思い出し、
仕方なく、婚約を受けたのだった。
一方、相手の神崎は、梓に夢中になっていた、優しく紳士な振る舞いで接せられるうちに、梓も少しずつ神崎に心を開いていった。