⑤
リビングに案内された類。
「今、お茶を用意するね。」
「お構いなく」
「あのっ、その。今日は、どんな用件ですか、、、?」
「うん。」
出されたお茶を一口飲み、類が話し始めた。
「稑クンの事なんだけど、、、
牧野は、もう知ってるよね?」
「、、、はい。」
「うちの会社で、働いてもらってる。」
「、、、はい。」
「牧野は、大丈夫かな?と思って。」
「大丈夫って?」
「うん。昔の事、掘り返す訳じゃないけど、色々あったからさ、、、。」
「そうね。でも、、、私達、大人になった。」
「そうだね。」
「花沢類や、滋さん達には、音信不通みたくなっちゃって、申し訳なかったと思ってます、散々迷惑かけたのに。。。
でも、あの頃は、もう何もかもが辛かったの、、。
だから、リセットするつもりで、
自分の生きてる世界の中で、精一杯生きてきたの、、、、」
「うん、、」
「家族ができて、守りたい、守らなきゃいけない存在ができたの。」
「うん、、」
「今は、精一杯、親子2人で生きてるの、、」
「うん。牧野、頑張ったんだね。」
「花沢類の会社で、お世話になる事は、とってもありがたいです、何よりも安心です。
ありがとう。
でも、、、それだけにさせて下さい。
寂しいけど、もう関わらないって決めたから。
勝手な事言ってるのは、わかってます。
ゴメンなさい。」
深々と、類に頭を下げた。
「いや、オレも牧野の気持ちは、わかってたつもりだったんだ、、
稑クンの事は、偶然だけど、何でかな、やっぱり牧野の事、ほっとけなかった。。
連絡取れない間も、また苦労してるんじゃないかと、気が気じゃなかった、、、」
そんな類を優しく眼差しで見つけるつくし。
「花沢類、ありがとう。」
「こんな事、言っていいのかわかんないけど、昔話だと思って、聞いて欲しい、、、。
牧野の事、オレが幸せにしてやりたかった、、。
アイツから、奪ってでも。
オレ、、、あの頃、牧野の事が好きだった」
つくしは、涙を流していた。