③
「司っ!あなたは、一体何を考えているのっ!!」
楓が、物凄い剣幕で社長室に入ってきた。
「何がですか?」
冷たい表情で、楓を無視した。
「梓が、一旦結婚の話を保留にしたいと言い出したわっ!!何か余計な事を吹き込んで、惑わせたんでしょう!!
あなたは、梓の父親なのよ?
何故、あの子の幸せを考えてあげないのよ。」
「お母さん、オレは、梓を、昔のオレのようにさせたくないんだよっ!!
自分で、選んだ道かもしれない。。。
でも、あの時、自分の気持ちに正直にいれたら、、って、今でも何度も夢に見るんだよ!
いつまでも、過去に取り憑かれてるようで、苦しいんだよ!!
こんな気持ちを、梓にもさせてたまるかよっ!!」
「司、あなたの言いたいことはわかります。
でも、あなたもこれまで生きてきた生活を変える事は、きっと出来なかったはず。
梓も同じなんです。
特別な環境で育ってしまった以上、知らない世界で生きていくというのは、とても辛いことだわ。」
「オレの気持ちなんて、いつでもお構いなしだったもんな。。。
オレ達は、あんたらの駒じゃないんだ!
ただ、アイツとの、唯一愛したやつと、
未来を見たかったんだよ。
それだけだったんだよ。。
わかってくれよ。。。」
司は、涙をこぼしながら楓に訴えていた。