L'homme du destin 〜運命の人〜 花より男子二次小説

花より男子二次小説。漫画の展開からのタラレバ話を世代を超えてつくってみました。自己満足レベルなので、あしからず。

司は、ホテルのバーに玲人を呼び出していた。

 

 

「神崎君、今回の件、本当に申し訳ない。」

 

 

頭を下げた司に、玲人もビックリしていた。

 

 

「いやっ、その、やめて下さい。道明寺さん。

 

 

「今回の事は、梓のワガママでしかないんだ。

だから、君には本当に申し訳ない。」

 

 

「いえ、、、実は、僕も本当の事を言うと、この結婚には迷っていました。。。

もちろん、彼女の事は好きでした。。

でも、なんか、自分の中で、結婚まで吹っ切れないというか。。。」

 

 

「君も、いろいろあったみたいだね。。」

 

 

「はい、、、。あの、今からいう話は、

ここだけの話にしてもらえますか??

誰にも言うまいと思っていた話なので。。」

 

 

「ああ、わかったよ。」

 

 

 

そして、玲人は話し始めた。

 

 

大学2年の頃、初めて心から愛する女性に出会ったこと。

 

 

3歳上の彼女とは、食事していたレストランで出会った。彼女は、そこでソムリエを目指して勉強していた。

 

彼女は、玲人のスタッフに対する横柄な態度が許せず、彼をその場で叱った。

 

慌てた上のスタッフが出てきて、玲人に謝罪したが、彼女は頭を下げなかった。

 

玲人は、今まで誰かに、真剣に怒られたことが無かった、自分のしている事は全て許される、親の力、金の力で何とかできると思って生きてきた。 

 

彼女の存在が気になってしょうがなかった。

あの瞬間から、彼女に惹かれている事に気付いた。

 

 

数日後、店に行ってみると、彼女は辞めていた、あの一件後、半ば辞めさせられていたのだ。

 

必死に、彼女の居場所を探した。

 

 

数週間後、ようやく都内のレストランで働く彼女を見つけた。

彼女は、玲人を見るなり、何しに来たの?と冷たい言葉を掛けた。

それから、玲人は、週1回彼女の働くレストランに、通うようになった。

最初は、相手にもされなかった。

しかし、ソムリエを目指す彼女との話を合わせるために、玲人も必死に、ワインの勉強をして、会話のきっかけをつくっていた。 

 

そんな、玲人の姿に、彼女も惹かれていき、2人の距離が縮まっていった。

 

毎日、彼女の仕事が終わった後、彼女の部屋で一緒に料理を作り、ワインを選んで呑む、それがささやかな幸せだった。

 

そして、お互いに愛し合うようになっていった。

 

 

 

彼女の部屋で暮らし始めて数ヶ月後の事だった。

 

彼女が、妊娠していることがわかった。

 

 

その状況に、嬉しさよりも、自分の今の立場や親になるという事が理解出来ず、気付くと、部屋から飛び出してしまっていた。

 

 

まだ、大学生である自分。

親に言うべきだろうか、いや、いっそ家を出てしまおうか。。駆け落ちでもいいじゃないか。

 

でも、どうやって暮らしていく?

何をして働く?

親子3人で生活できるほど、稼ぐ事が、自分はできるんだろうか??

 

 

神崎家に生まれ、何不自由なく育った環境以外で生きていくことが、恐怖に感じていた。

 

 

その間にも、彼女から連絡はあったものの、自分の答えを見つけ出せないままだった。

 

 

しばらくたったある日、玲人は彼女の部屋を訪れた。

 

そこには、彼女の姿はなく、部屋も空き部屋になっていた。

彼女の働いていた店を訪ねたが、そこにも彼女の姿はなかった。数日前に、退職していた。

同僚が、玲人に、手紙を渡してきた。 

彼女からの手紙だった。

 

そこには、

「さようなら」とだけ書かれていた。

 

 

仲の良かった同僚の話では、

玲人に会うために、神崎家を訪ねてきていた事、そこで、玲人との事を話すも許してもらえず、代わりに、フランスでのソムリエ留学と手術費用を条件に、別れるように告げられたという。

 

彼女は、玲人に相談しようとしたが、一向に連絡がつかないことに気持ちも絶望し、 子供を産むことを諦め、フランスに旅立って行った、と聞かされた。