L'homme du destin 〜運命の人〜 花より男子二次小説

花より男子二次小説。漫画の展開からのタラレバ話を世代を超えてつくってみました。自己満足レベルなので、あしからず。

つくしは一人悩んでいた。

 

どうして、こんな事になってしまったのか。。。

 

稜には、別れるように言ったが、納得するハズが無い、、、

自分でも、どうしていいのか、わからなかった。

 

 

 

そして、考えた末に、花沢類に連絡をしていた。

 

 

「花沢類?あの、、牧野です。

忙しいのにごめんなさい。。。

ちょっと相談したいことがあるんだけど、時間もらえますか??」

 

 

 

「牧野?相談?、、、あぁ、わかったよ。

じゃあ、14時に○△ホテルのカフェに来てくれない?」

 

 

 

時間より少し早くホテルに着いたつくし。

 

 

キョロキョロしながら、カフェを探していると後ろから、呼ぶ声がした。

 

「牧野!」

 

振り返ると、花沢類が手を振っていた。

 

 

つくしは、急いで類に駆け寄った。

 

 

 

 

 

その様子を、離れたところから、偶然司が見ていた。

ミーティングで、ホテルを訪れていた。

 

 

 

「類?」

 

 

 

こんなところで、女と会ってるのなんて、珍しいな。

ちょっと、冷やかしてやるか笑

 

 

 

司は、類達のあとから、カフェに入り、離れた席から様子を見ていた。

 

 

 

 

 

「話って?」

 

 

 

類が、切り出した。

 

 

 

「うん。。。稜の事なんだけど。」

 

 

 

 

「稜君がどうかした??仕事で何かあったとか?」

 

 

 

「ううん、仕事の事じゃないの。。」

 

 

 

 

「じゃあ、、、何?」

 

 

 

 

つくしの様子に、何か感づいたようだったが続けた。

 

 

 

「花沢類は、道明寺のお嬢さんのこと知ってる?」

 

 

 

 

「梓ちゃんの事?ああ、もちろん。司の娘だし、小さい頃から知ってるけど?」

 

「それが、どうかした??」

 

 

 

 

「、、、うん。どういう経緯かは、わからないんだけど、その梓さんと、稜がお付き合いしてるみたいなの。」

 

 

「、、、そう」

 

 

 

「ごめんなさいっ!こんな事、相談できる人いなくて。。。両方の事を知ってるのって、花沢類だけだと思って。。。」

 

 

 

「いや、いいよ。。。」

 

 

 

 

「私、どうしたら。。。稜には、お付き合いを辞めなさいと言ったけど。。

ねぇ、花沢類。私、どうしたらいいの??」

 

 

 

つくしは、その場で涙を流し始めた。

 

 

 

類は、とりあえず一旦落ち着こうよ、と

つくしの背中をさすりながら、店を出て行った。

 

 

 

 

2人の様子を見ていた司。

 

 

驚きを隠せず、立ち上がれないでいた。

 

 

 

類が会ってた女って、、、、

 

 

牧野か?

 

 

どうして??

 

 

 

会話は聞こえて来なかったが、親密そうに話をしていた。。。

類が背中に手を回していた様だった。。。

 

 

まさか、付き合っているのか??

 

そういえば、少し前に再会したと言っていた。。

 

昔、オレがNYに行って牧野が迎えに来た頃、類もアイツの事が好きだった、と言われた。

 

 

昔の気持ちを告白された牧野が、類を受け入れたのか??

 

 

司の心は、かき乱されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「稜、ちょっといい??」

  

 

 

「ん、何??」

 

 

 

 

「あなたに、話しがあるの。」

 

 

深妙な顔つきのつくしを不思議に思いながら、稜は座った。

 

 

 

「母さん、今日来た道明寺さんとのお付き合いは賛成できないの、、、」

 

 

 

 

「えっ??何で?だって、あんなに会うの楽しみにしてたし、実際、楽しかったでしょ??

彼女、何かした??」

 

 

 

 

「彼女は、とても素敵な人だと思うわ、、、。けどね、私達とは、住む世界が違うの。

わかるでしょ??何もかもが違うのよ。」

 

 

 

 

「そんなの、最初からわかってるよ。」

 

 

 

 

「わかってない。友達だったら、何も言わない。でも、お付き合いするのは、あなた達が辛いだけ。。」

 

 

 

 

 

「母さん。どうしたの??こんな事言われるの初めてだよ、、、。何で??」

 

 

 

稜の質問に、黙ったまま俯くつくしだった。

 

 

まさか、道明寺の娘と、稜が付き合っているだなんて、夢にも思っていなかった。

 

道明寺とは、10数年前、ばったり会ったっきり。

自分はおろか、子供同士に接点なんてないはずなのに。。。

 

どうして、こんな事になっているのか、、、。

 

 

ピンポーン

 

佐伯家のインターホンが鳴った。

 

「はーい」

 

 

つくしが返事をしてドアを開けると、稜と女の子が立っていた。

 

 

「稜、おかえり。あら、こちらが例のお嬢さん??」

 

 

 

「うん。あっ、これがオレの母さん。」

 

 

 

「はじめまして。

今日は、お招きありがとうございます。」

 

 

梓は、お辞儀して、挨拶をした。

 

 

 

「さぁ、入って入って!待ってたのよ〜」

 

 

 

 

 

ダイニングに入ると、テーブルの上にいろいろな料理が並んでいた。

 

 

 

「母さん、今日はりきったね!」

 

 

 

「そうよ〜、沢山作ったから、沢山食べてちょうだいね。」

 

つくしに促され、席に着いた。

 

 

 

 

「はじめて食べるものばかりかもしれないけど、召し上がれ。」

 

 

 

 

3人の誕生日会が始まった。

 

 

 

 

 

 

一通り、食事が終わり、デザートのケーキを食べていた時だった。

 

 

 

「あっ、そういえば。お嬢さんのお名前聞いてなかったわね、うっかりしてた笑」

 

 

 

 

「あっ、オレも言いそびれてた笑」

 

 

 

「じゃあ、自己紹介してくれるかしら?」

 

つくしは、梓に笑いかけた。

 

 

 

「はい。私は、道明寺梓と申します。」

 

 

つくしは、その言葉に凍りついた。

 

 

 

 

「えっ??ど、道明寺??」

 

 

 

 

「はい。珍しい名前ですよね?」

 

 

 

 

「母さん知ってる?道明寺グループって?

彼女のお父さんが社長なんだよ。」

 

 

つくしは、返す言葉がなかった。 

 

 

 

 

そして、そのまま、梓が帰るまで、黙ったままだった。

 

梓の誕生日パーティ当日。

 

場違いな雰囲気に、稜は戸惑っていた。

 

 

「こっち、こっち!」

 

 

 梓が、遠くから手を振る。

 

 

梓の周りには、西門麗香、美作姉妹も揃っていた。

ドレスアップしている姿に、稜は少し怖気づいていた。

 

 

 

「今日は、招待してくれてありがとう。

あの、、、今日は、いつもと感じが違うっていうか。。。ドレス素敵だね。」

 

照れながら、褒める稜。

 

 

 

それを、横で見ていた麗香達が近づいてきた。

 

 

 

「梓の付き合ってる人って、あなたの事ですか??」 

 

 

 

「えっ〜、ちょっと今までとだいぶタイプが違くない??」

 

 

 

「意外なんだけど〜」

 

勝手に話始める3人に、今、紹介するから黙って、と、なだめる梓。

 

 

「こちらは、佐伯稜さん。」

 

 

よろしく、と3人に頭を下げる稜。

 

 

 

 

その時、後ろの方がザワつき始めた。

 

 

 

 

そしてF4が、パーティーに現れた。

 

 

 

 

「ねぇ、F4よっ!!まさか、こんなところでお目にかかれるなんてっ!」

 

 

 

「大人になっても、やっぱり素敵だわぁ」

 

 

パーティーに出席していた女性達が、騒ぎ始めた。

 

 

 

 

 

「F4って??何?」

 

 

 

 

「F4っていうのは、梓の父親の、道明寺司と、私の父の西門総二郎、こちらの美作姉妹の父親の、美作あきら、そして花沢物産社長の花沢類、この4人の学生時代の呼び名なの。」

 

 

麗香が、稜に教えた。

 

 

 

「へぇ〜。何か、やっぱり君達って凄いんだね、、、。」 

 

 

想像以上の世界に、驚きが止まらない稜。

 

 

 

 

「あれ?佐伯君??」

 

 

花沢類が、稜に気付いた。

 

 

 

「あっ、花沢社長。」

 

類に気付き、軽く会釈をした。

 

 

 

 

「何?彼、類の知り合い??」

 

 

あきらが類に尋ねた。

 

 

「うん。うちの社員で、佐伯稜君。」 

 

 

「へぇ。で、何で君がここにいるの??」

 

あきらが突っ込んだ。

 

 

「あ。あの、梓さんに招待されまして。。。」

 

 

「へぇ、じゃあ梓の彼氏ってこと??」

 

 

 

「あきら、まぁ、そのへんにしとけよ。

ビビってるだろ?」

 

総二郎が悪いね、と間に入り、あきらを連れ出した。

 

 

「佐伯君、梓ちゃんと付き合ってるんだって?」  

 

「しゃ社長、なんでそれを??」

 

 

「あぁ。さっき、あきらんちの双子達が噂してたからさ。君のこと。」

 

 

「は、はぁ。そうでしたか。。。」

 

 

「オレは、応援してるからさ。」

 

 

そう言って、類は稜の肩をポンと叩き、その場から離れて言った。

 

 

 

「おい、総二郎。梓のやつ、付き合ってるヤツがいるってホントか??」

 

 

「らしいな。今日、来るみたいだぜ。」

 

 

「どんなヤツだった??」

 

 

「おまえ、父親だろ?自分で確かめろよ。」

 

総二郎に、背中を押されたその時、前を通りすぎそうとした人物にぶつかった。

 

 

「あっ、すみません。」

 

 

 

「いってぇな〜、総二郎押すなよ。

あぁ、君。悪かったな。」

 

 

 

「いえ。」

 

 

司は、ぶつかった相手の顔をじっーと見て、立ち止まっていた。

 

 

 

「あ、あの?ホントすみませんでした。」

 

 

 

 

「ああ。いや、いいんだ。オレが悪かった、、、。そんな事より、君とどこかで会ったことあったかな??」 

 

 

 

 

「えっ?えーと、どこかでお会いしたような気もしますが、、、すみません、覚えてないです。」 

 

 

 

 司は、どこかで会った、というよりも、過去の記憶が呼び戻されるような気がしていた。

 

 

 

「君、名前は?」

 

 

「はい、佐伯稜です。」

 

 

 

「佐伯?」

 

 

 

 

聞いたことがない名前だった。

でも、目元や、顔の雰囲気は、どことなく見覚えがあった。

 

 

 

第7章①

「ねっ。今度、私の誕生日会があるんだけど、来てくれる??」

 

 

 

「えっ、誕生日?いつ?」

 

 

「12月28日」

 

 

 

「12月28日??」

 

 

「そうだけど、、、??都合悪かった?」

 

 

 

「いや、、、実はうちの母親も同じ誕生日なんだ。」

 

 

 

「えっ!?そうなの〜??スゴい、偶然じゃない?」

 

 

 

「うん、ビックリした。」

 

 

 

 

「じゃあ、28日は無理かな、、、」

 

 

 

 

「いや、行くよ!母さんは、プレゼントだけ渡せば喜んでくれるだろうから。」

 

 

 

 

「じゃあ、楽しみにしてる。」

 

 

 

 

梓は嬉しそうに帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま。」

 

 

 

 

 

「おかえりなさい。」 

 

 

 

 

 「ねぇ、母さんの誕生日って12月28日だったよね??」

 

 

 

 

「そうよ〜。何?プレゼントのリクエストでも聞きにきたの?笑」

 

 

 

 

「違うよ、そんなんじゃなくて。今、付き合ってる彼女も、同じ誕生日だったんだよ。」

 

 

 

 

「え?そうなの?偶然ね。

何かプレゼント考えてるの?」

 

 

 

 

 

「う〜ん、それなんだよね。。。

何がいいかなって思ってさ。彼女、欲しい物は何でも手に入っちゃうみたいだし。。

プレゼントとか貰い慣れてるだろうから。。」

 

 

 

 

「お嬢様みたいじゃない笑そうね〜

だったら、いつもご馳走は食べ慣れてるだろうから、うちの食事でよければ、一緒にお祝いなんてどうかしら??」

 

 

 

「えっ?うちで??」

 

 

 

 

「そう。お嬢様みたいな生活してたら、きっと庶民のご馳走とか知らないんじゃない?笑」

 

 

 

「そうか。。。聞いてみるよ。母さんと一緒の誕生日なんて、彼女も驚いてたし。」

 

 

 

「母さんも、会ってみたかったし、オッケーしてくれたら嬉しいわ。」

 

 

 

梓の誕生日の次の日に、稜の家に招待することにした。

 

 

 

 

司は、黙って玲人の話を聞いていた。 

 

「それで?彼女とは?」

 

 

「それっきり、、、音信不通です。」

 

 

「それでいいの?」

 

 

「、、、、」

 

 

「彼女の事、本当に愛してたのか??  

このまま、中途半端に気持ちを引きずったまま、先になんて進めないんだぞ。  

君も、彼女も。。。

ちゃんと自分の気持ちにケジメをつけるべきだ、、、。

オレが言えた立場じゃないが。。。」

 

 

 

 

 

 

「あの、、、道明寺さん、

やっぱり梓さんとの結婚は、僕から破棄させて頂けませんか?勝手なお願いだとは、承知の上ですが。。。」

 

玲人は、頭を下げた。

 

 

 

司は、無言で頷いた。

 

 

 

「で、どうするつもり??」

 

 

 

 

「はい、とにかくフランスに行って、彼女を探して、何もかも謝ってきます。許されるとは、思ってませんが、、、。」

 

 

「、、、後悔するなよ。

あとの事は、こっちに任せればいいから。」

 

 

「はい。。。あの、話聞いて頂いてありがとうございました。」

 

 

 

最後に一礼すると、玲人は店から出て行った。

 

 

 

 

 

「司です。神崎玲人と、梓との結婚の話ですが、双方が、破棄したいとの事で一致しました。そういう事なので、この件は、ここまでにして下さい。」

 

司は、用件をだけ伝えると、あっさりと電話をきった。

 

 

 

司は、ホテルのバーに玲人を呼び出していた。

 

 

「神崎君、今回の件、本当に申し訳ない。」

 

 

頭を下げた司に、玲人もビックリしていた。

 

 

「いやっ、その、やめて下さい。道明寺さん。

 

 

「今回の事は、梓のワガママでしかないんだ。

だから、君には本当に申し訳ない。」

 

 

「いえ、、、実は、僕も本当の事を言うと、この結婚には迷っていました。。。

もちろん、彼女の事は好きでした。。

でも、なんか、自分の中で、結婚まで吹っ切れないというか。。。」

 

 

「君も、いろいろあったみたいだね。。」

 

 

「はい、、、。あの、今からいう話は、

ここだけの話にしてもらえますか??

誰にも言うまいと思っていた話なので。。」

 

 

「ああ、わかったよ。」

 

 

 

そして、玲人は話し始めた。

 

 

大学2年の頃、初めて心から愛する女性に出会ったこと。

 

 

3歳上の彼女とは、食事していたレストランで出会った。彼女は、そこでソムリエを目指して勉強していた。

 

彼女は、玲人のスタッフに対する横柄な態度が許せず、彼をその場で叱った。

 

慌てた上のスタッフが出てきて、玲人に謝罪したが、彼女は頭を下げなかった。

 

玲人は、今まで誰かに、真剣に怒られたことが無かった、自分のしている事は全て許される、親の力、金の力で何とかできると思って生きてきた。 

 

彼女の存在が気になってしょうがなかった。

あの瞬間から、彼女に惹かれている事に気付いた。

 

 

数日後、店に行ってみると、彼女は辞めていた、あの一件後、半ば辞めさせられていたのだ。

 

必死に、彼女の居場所を探した。

 

 

数週間後、ようやく都内のレストランで働く彼女を見つけた。

彼女は、玲人を見るなり、何しに来たの?と冷たい言葉を掛けた。

それから、玲人は、週1回彼女の働くレストランに、通うようになった。

最初は、相手にもされなかった。

しかし、ソムリエを目指す彼女との話を合わせるために、玲人も必死に、ワインの勉強をして、会話のきっかけをつくっていた。 

 

そんな、玲人の姿に、彼女も惹かれていき、2人の距離が縮まっていった。

 

毎日、彼女の仕事が終わった後、彼女の部屋で一緒に料理を作り、ワインを選んで呑む、それがささやかな幸せだった。

 

そして、お互いに愛し合うようになっていった。

 

 

 

彼女の部屋で暮らし始めて数ヶ月後の事だった。

 

彼女が、妊娠していることがわかった。

 

 

その状況に、嬉しさよりも、自分の今の立場や親になるという事が理解出来ず、気付くと、部屋から飛び出してしまっていた。

 

 

まだ、大学生である自分。

親に言うべきだろうか、いや、いっそ家を出てしまおうか。。駆け落ちでもいいじゃないか。

 

でも、どうやって暮らしていく?

何をして働く?

親子3人で生活できるほど、稼ぐ事が、自分はできるんだろうか??

 

 

神崎家に生まれ、何不自由なく育った環境以外で生きていくことが、恐怖に感じていた。

 

 

その間にも、彼女から連絡はあったものの、自分の答えを見つけ出せないままだった。

 

 

しばらくたったある日、玲人は彼女の部屋を訪れた。

 

そこには、彼女の姿はなく、部屋も空き部屋になっていた。

彼女の働いていた店を訪ねたが、そこにも彼女の姿はなかった。数日前に、退職していた。

同僚が、玲人に、手紙を渡してきた。 

彼女からの手紙だった。

 

そこには、

「さようなら」とだけ書かれていた。

 

 

仲の良かった同僚の話では、

玲人に会うために、神崎家を訪ねてきていた事、そこで、玲人との事を話すも許してもらえず、代わりに、フランスでのソムリエ留学と手術費用を条件に、別れるように告げられたという。

 

彼女は、玲人に相談しようとしたが、一向に連絡がつかないことに気持ちも絶望し、 子供を産むことを諦め、フランスに旅立って行った、と聞かされた。