④
あの日から、ずっと彼女の名前がひっかかり、頭から離れずにいた。
よく考えてみれば、どこかで会っていた?顔も見覚えがあるように思えてきた。
青山で最初に会った女王様キャラから一転、意外とかわいらしい一面も持ってたんだな、とそのギャップを思い出し、また笑ってしまった。
「なあに?何かいいことあった?」
「べっ、別に?何で?」
「今、ニヤニヤしてたわよ?」
「なっ、何にもないよっ!」
つくしの鋭い突っ込みが続く。
「もしかしてっ!彼女できたの??」
「えっ!?彼女?ま、まだそんなんじゃないよ。名前しか知らないんだから。」
「まだ?」
ニヤッと笑い陸を見た。
「そうだよ、この間初めて会って、名前しかわからない。」
「へぇ~、名前しかね~笑カワイイの?」
「えっ?わかんないよっ、そんなの!」
「恥ずかしがっちゃって笑お付き合いするなら、母さんにも、ちゃんと紹介してよね。」
「だから、そんなんじゃないって!?」
激しく動揺する姿をみて、息子の成長を感じるつくしだった。