③
数日後、花沢物産の受付に梓の姿があった。
「あの〜?すみません。こちらで、働いている方で、大学生くらいのアルバイトの方っていますか???」
「?お約束は、されていますか?」
「いえ、、、」
「申し訳ありません。お約束が無い方に
名前などをお伝えすることはできません。」
その時、後ろから、外出から戻ってきた類がやって来た。
「梓ちゃん!?どうした?また、何か用事?」
ヤバイ、、、今、あまり会いたくない人に、また会ってしまった。。。と悔やむ梓。
「あっ!ううん。別に、特に、用事ではないんだ。」
そう言う梓の様子を見て、何かを察し、
受付嬢に事情を聞く類。
「フ〜ン、何だ。そういうことか笑」
ニヤっと笑って、梓を見た。
「この間、ここで一緒にいた子探してるんでしょ??」
「エッ!?別に、そのっ、違うから!」
顔を真っ赤にして慌てた。
「ハハっ笑
いいよ、名前なら教えてあげるよ。
その代わり、司には言わないから、何があったか教えて笑」
ずっと顔が赤い梓を、おちょくる類。
来るんじゃなかった。。。と後悔しつつ、
以前よりも、平常心で、類と向かい合い、
稑との事を話せる自分に驚いていた。
「へ〜笑面白いね」
何かと重ね合わせながら、笑う類。
「全部話したんだから、名前教えて。」
恥ずかしそうに、尋ねる。
「うん。さっき調べてもらったんだけど、
大学生ぐらいのアルバイトの子は、今1人しかいないらしい。
えっと、名前が[佐伯稑](さえきりく)だって。」
スマホに送られてきたデータを見て伝える類。
「さえきりく?」
「そう。えっと、国立K大1年生で、2ヶ月前から、うちで働いてるみたい。」
「ありがとうございましたっ!」
急に敬語になり、ペコっとお辞儀をして走り去る梓。
その姿に、呆気にとられた類は笑っていた。