⑧
道明寺を、いつものバーに呼び出していた類。
「何だよ、類。急に呼び出して。」
「あぁ、悪かったね。
でも、司には伝えておかないと、と思って。」
「は?なんだよ。笑」
「オレさ、今日、牧野に会ったよ。」
「、、、はっ?それが、何だよ」
「司はさ、牧野の事、どう思ってる?」
司の表情が、変わった。
「おまえ、ふざけんなよ!今更そんな話しかよっ。
もう、十何年前の話しだろ?
とっくに終わった事だ、、、。」
「司、、、もう時効だから言うね。
オレ、牧野と司が離れる事になった頃、いや、もう少し前から、牧野の事が、好きだった。」
類の突然の告白に、黙ったままの司。
「司が、NYに行くことになって、2人が別れることを決めた時、牧野の事、司から奪い取ってやりたかった。」
「、、、そうだったのか。悪かったな、類。おまえだったら、オレよか、あいつの事、守ってやれただろうな。。」
悲しい顔をしたまま、俯いたままの司。
「あいつ、元気かよ?」
「あぁ、元気だったよ。
詳しくは、わからないけど、、、
結婚した相手が、事故で亡くなって、1人で子供を育てたみたい。。」
「、、、あいつも、苦労がつきねぇな。。。そうか、結婚したのか。。。」
「うん。。。立派に子供を育ててるよ。
何年経っても、牧野は牧野だった、、、。
それって、スゴイよね。」
「あぁ。」
司は、小さく答えた。